<今月の禅語>    

老倒疎慵無事日 安眠高臥対青山(五灯会元)

     老倒(ろうとう)疎慵(そよう)無事の日 安眠高臥して青山に対す




今はすっかり老いぼれて、何事にももの憂くなってしまったよ。

もう浮世のことは何の未練も執着も無いし、欲も得も無い。

こうやって寝転びながら山の緑でも眺めているのが何よりの

楽しみだよ。
―――というきれいさっぱりとした老翁の境涯。

「老倒」は老耄顛倒の意で、老いぼれたさまを言う。

「疎慵」は面倒くさい、物憂い、億劫という意味だが、ここでは

とらわれがなく、
こだわりが無い、そんなこまごまとした世間の

ことなど、もう、
どうでもいいじゃないかという心境。

もはや、悟りだの迷いだの、凡だの聖だのと言う、あれこれ

つまらぬ計らいを
やめて、万事休した状態が即ち無事の日。

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