<今月の禅語>    

天上天下 唯我獨尊(てんじょうてんげ ゆいがどくそん) 五灯会元


4月8日は花祭りとして祝われるお釈迦様のご誕生日である。

カピラワッ城郊外の花園で摩耶夫人の右脇より生まれられたお釈迦様は、七歩あるき、左手を天に

指し、右手を地に指して言われた言葉が「天上天下唯我独尊」であるという逸話が伝えられている。

その事実はともかくお釈迦様の偉大さを示す「仏教宣言」の言葉であるといえよう。

     


「天上天下」とは天地宇宙いっぱいのことであるり、「唯我」とは

小さな自我の我でなく、絶対の、何にも囚われない大我、

即ち仏の心のことである。

天地宇宙この世に存在するすべてのものは、皆、仏のいのちの

中にあって、それぞれに尊厳有り、尊ぶべき存在である。

古代インド、コーサラ国のパセナーディ王とマッカリ婦人は

人も羨む仲の好い夫婦だった。

ある夜、王は妃に「この世で汝の一番愛しい者はだれか?」

とたずねたところ、マッカリ妃は「王よ。私にはこの世に自分よ

り愛しい者はございません」と応えたといいます。

王はがっかりしましたが、お釈迦様はこれを聞き、王に対し

「人は誰も己より愛しいものを見つけることは出来ないものだ。

他の人にあっても自分という者はこの上なく愛しいものである。

自分の愛しさを知る者は他を害してはならない」と示されたと言う。

ここに仏教の絶対平等の思想が生きてくる。

本山大徳寺開山大灯国師の師匠である大応国師は天上天下唯我独尊とは、

「衆生のため力を尽くす事だ」とお答えになったと言うことです。


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