<今月の禅語>   

 天行 健--------天行 健(けん)なり

  
 〜天行 健なり。君子、以って自ら彊(つと)めて息(や)まず《易経》


「天行とは天体の運行のこと。宇宙誕生以来、日月星辰は常に規則正しく動き、時を刻み、四季をもたらし

太古から現代の今日、今に至りてもなお休みなく、整然として正しくめぐり、誠に健やかである。

このように人々の上に立つ君子たるものは、この健やかな天の運行を範とし、安定と安心を与えられるよう

常につとめ励むことである。」と言うのが大意である。

 2000年と言うことで今年は格別の思いをもって年明けを迎えた。
     
しかし、その2000年とはキリスト教の開祖イエスの誕生に紀元した

暦法の西暦の2000年という時の刻みに過ぎない。

たとえそれが20世紀最後の年であると言ってもそれは大自然、

天体の運行には何ら関係なく、天行は誠に健なりなのである。  

所が今年は2000年が叫ばれ、騒がれたのははコンピュ−ターの

誤作動という問題を含んでの年明けであったことである。

今やもう、コンピューター社会だ。何時の間にかコンピューターという

頭脳的機能を持つ便利な道具が西暦年採用の器械として現れ、

急速に広がった。

所が、その器械はは2000年という年号の変化という認識のない

ままに急激な普及してしまったからたまらない。
もちろん対応策は万全にとられ修正も

されてはいても、万一と言うことが

心配された。

それに対応できない古いコン

ピューターは2000年の認識が出来ず、

無軌道な作動を起こし、関連しあう

正常なコンピューターやその他の

機械までも狂わしかねないという

不安を含んでいたからである。  
 幸い大きな混乱はなくて好かったが、そんな人間社会の不安、喧騒に何ら関わらず、

常に「天行は正に健なり」で、昨日も今日も夕日は沈み、朝日は昇り新年を迎えた。

私たちも世間の喧騒、飛語に惑わされる事なく、この天行の悠久の時の流れの中に生かされているという

事実しっかり認識しておきたいものである。

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