こころの紋様 -ミニ説教-

~腹八分目の医学~

- 人の体の製薬工場 -



 私は子供の頃より比較的元気な方でしたが弱点があり胃弱で風邪ひきやすさがありました。

ちょっと食べ過ぎりとすぐに胸やけをしたり胃痛が悩みでした。青年時代には胃潰瘍をこじらせて、

京都市街で吐血して救急車で運ばれ5ケ月の入院生活を強いられたほどでした。そんな弱点を克服

すべく昔は漢方や鍼灸治療を受けたり、本屋に行っては様々な健康法の本を買い求めたものでした。

 その結果学びえたことは知識や本では決して健康は買えないということと、病気は食に関係し、

食べ物そのものより食べる量と、食べ方に関係して起こるのだということを体感したものです。

 人間の体というものは不思議な力を秘めているもの

です。極端に偏らない限り、普通の食べ物を腹八分目

ほどをよく噛んで食べていれば体の生理作用が働き、

体自体がバランスをとって健康状態を保つものだと

言われます。昔から「腹八分目に医者いらず」とは

よく云ったものです。人間の体の中にはまだまだ解明

されていない神秘の部分もあるようです。

 たんぱく質を含まない草しか食べない牛や馬はたんぱく質のかたまりみたいなほどに大きな体と

なっていることで分かるように、人間の体も牛や馬とは多少構造が異なるとはいえ、人間はそれ

以上に精巧な機能を持ち体内には様々な栄養剤工場があり、製薬工場のような諸器官が働いて

ホルモンをつくり酵素を作って、口から入れた食べ物をたんぱく質に変えたり、ビタミンに作りかえる

働きを有しています。かって阪神大震災の時もそうでしたが、昨年の東日本大震災でも多くのボラン

ティアの人たちが雪降る寒い中、食糧事情乏しい悪環境の中、何日もとどまり復興支援に携わられ

ました。ところがその人たちの中にはほとんど風邪をひく人がなかったという派遣医師の報告を聞き

ました。それは人間は人のために尽くし、善い行いをしたり、スポーツなど楽しいことをしている時には、

ベーターエンドルフインやドーパミンとかいう特殊なホルモンが出て気分を爽快にさせ体を元気に

してくれるとも聞いています。私はもう40数年、ほとんどお肉を食べてはいません。僧侶だから食べ

ないということでなく単なる好き嫌いなだけです。でも多少の煮魚、焼き魚は頂きますが、どちらかと

言えば菜食中心です。

 しかし、私は人並みに元気で、今はもう年齢制限で

出来なくなりましたが、今まで何度も献血に行っては

400㏄の採決をしてもらい、血液内容も良好との結果を

得ています。体力的にも過酷と言われるトライアスロン

競技に十数回参加し、マラソン大会にも出場して来て

います。入賞など望むべくもありませんが、決して肉食の

人たちに劣っているとは思いません。

 お肉を摂らなければスタミナがつかないというのはむしろ現代の迷信でしかありません。殺生を禁じた

仏教の影響があってか、もともと日本人は公けにはほとんどお肉を食べることはありませんでした。

 天武天皇の時代、675年には殺生肉食禁止令が出され、以降、明治時代まで牛や馬や犬などの

4足の動物は食べないことは社会通念で、かなり厳しく守られていたようです。それでも今の人より

昔の人の方が体力的に強かったのではないかと思えます。

 古人は神仏を崇め、天を拝し、地に謝して自然の中に己の分を知り、無駄な命を奪わず自然の恵みを

頂いて生きて来たことです。たんぱく質もビタミンも、ミネラルなど知らなくても自分の体を支えてくれる

食べ物に対する感謝を知っていました。食べ物は単なる食べ物でなく天の与えたもう恵みであり、

決して無駄な食いをせず、感謝と慎みをもって頂いて心身ともに健康な生活を維持してきたことでしょう。



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