こころの紋様 -ミニ説教-

~人は胃袋のために働く?~

- 何のために食べるのか -



 もし人間に胃袋がなかったら、どんなに楽だろうかとふと考えることがあります。人間が生きていく

ための最も重要な行為の一つに「食べる」ということがあります。それは空腹という感覚と意識が

働いて欲求してくる本能でもあります。これを食欲といい、本能欲の一つであり、性欲・睡眠欲・財欲・

名誉欲の五欲の代表です。これは本能ゆえに病気でもない限り胃袋はいつでも食べ物を求め

続けてやむことがありません。私たちは胃袋の欲求から逃れられない宿命にあり、生ある限り胃袋の

欲求によって食べ物を求めて働かされているのかも知れません。

 というのは、私たち人間が食べることにかける時間は

大変なものです。料理をつくる時間や食べるための

時間ばかりでなくて、買い物、その金を稼ぐ時間も

あります。米作り、野菜作り、その他、食品加工に

要する時間と労力を考えると、企業をはじめ経済

活動のすべてが直接、間接にも食欲を満たすために

動いているといっても過言ではないからです。

 私は自分の体に対するいたわりと、食べ物に対する感謝と、仏道修行の徳目の忍辱と布施の

意味を含めて毎月23日(11月23日勤労感謝の日・昔の新嘗祭に因んで)を断食の日としています。

 前日の22日の夕食後からはじめて23日を過ごし、24日の朝食までの三十数時間を原則として、

水もお茶も飲まずに過ごします。その断食によって生ずる余財を貧しき者への施しとして残すことに

しています。食事としてはたったの三食を抜くだけのことですが、その三食を抜くことにより生ずる

時間は実際以上に心のゆとりをその時間を他に生かせる効果は計り知れません。

 食事は単に食欲を満たすためのものでなく、体をつくり健康を維持していくためのものであるはずです。

 その生きていくための食を得るための手段として働いて

いるはずが、いつの間にか本末転倒し、忙しくて食事を

する暇がないとか、時間がもったいないのか、立ち食いや

インスタント食品が幅を利かせています。その一方で、

豊かさのあらわれとしてのグルメばやり、食い道楽が

流行っていて、何のための食なのかを忘れてしまって

いるのではないかと思えてなりません。

 戦後においては伝統的日本食を切り捨てて欧米式の肉食中心の食生活に変わりました。

その結果が肥満体質と高血圧からくる成人病の急増です。肉食過多、油のとり過ぎ、インスタント

食品や糖質の多い清涼飲料水のとり過ぎから血液は濁り、動脈硬化等老人性の症状が多くなり

医療費の増大はウナギのぼりだといいます。〝腹八分目に医者いらず〟とは昔から言われてきた

ことですが、食糧豊かな現代にこそ活かしたい言葉ではないかと思います。食べ過ぎて病気になる

ことはあっても、食べ足らずに病気になることはないとも言われています。あらためて自らの

食生活を見直し、自らの体(胃腸)の休息を考えてみることも大事なことかもしれません。



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