こころの紋様 -ミニ説教-


――私の今年の年賀状――
地雷を悲しみ天雷に目覚む

明けましておめでとう御座います
平成十四壬午年 元旦



草の種は蒔かずとも沸き出るごとくに生え、この寒さにも負けずによく育つ。もう此処はいいから、緑を失った

アフガンの荒地に生えてやってよと頼む。地面に地雷を植えたって決して芽が出るはずもないのに、誰が

せっせと蒔いたのだろう。悲しみのあだ花を咲かせたって、美しくも楽しくもないだろうに。今私に何が出来る

のだろう。悲劇の種を蒔くのはもうやめましょうよと祈る。そして、ユニセフ(国連児童基金)のアフガンの児童へ

の救援募金の呼びかけに、すずめの涙で応じてことをすませているときに、天雷が轟く。机に向かって午睡の

さなか、いきなりドーンと部屋がゆれビリリと電流が体を走った。ピカッと光ったかなどという記憶がないほどの

一瞬の出来事だ。

アメリカセンタービル内にいた人々のショックはこんなものじゃないはずだと

妄想に浸っている間に、電気のショートのきな臭い匂いが届く。ブレーカー

ボックスのふたが吹き飛び、部品が壊れ廊下に散乱して落雷の傷を物語る。

あらかたの電気製品はやられたが、火事にならなくてよかった。よかった。

寺の建物への直撃でなく、境内裏の銀杏の木の途中が少々えぐられていた。

落雷の勢いはその銀杏の木の途中を引き裂いて破片を飛ばし50メートル

以上も離れた隠居家の屋根を突き破り、雨を部屋まで呼び込んでくれた。

93歳の隠居和尚も初めてだと驚いたが、長い人生での初体験にまんざらでもなさそうだった。自然の恵みは

誠に有難いが、思わぬおまけのプレゼントまでしてくれる。この天雷の一喝。なんだか元気を頂いた気がする。

今年はきっといいことがあるに違いない。本年もなにとぞよろしくお願いします。

                                  承福寺住職
                                         要道 合掌

最後までお読み頂いてありがとう御座います。

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