こころの紋様 -ミニ説教-

〜注意一秒 怪我一生〜
いい加減のすすめ



日本人は頑張れ、ガンバローと、何でも一所懸命になる性質があるようです。頑張ることはいいこと、頑張る

人は良い人と一般的に思われています。それはいい意味では勤勉で努力家と言うことが出来ます。

その一所懸命さによって今日の日本の繁栄があると言えるでしょう。ところが、この美徳とされる頑張ることは

決していい意味ばかりではないことも心得ておきたいものです。
頑張ることの「頑」の字には頑固の頑と同じで"頑"とは「かたくな」

「融通が利かない」「かたいじ」「頭が鈍い」「さぼる」という意味があり、

頑張るとは「自説を押し通し、我を張る」という意味でもあります。

一つの考えにかたくなに固執し、意地を張るという頑固と相い通じる

ことなのです。
私の悪い癖の一つに車のハンドルを持つと、一時間もしない内に眠くなるという現象が出ることです。

決して睡眠不足というわけではなく、条件反射的なのか、病的なのか、とにかく眠くなってどうしようもないのです。

そんな時、自分で力いっぱいつねったり、ひっぱたいたりするのですが、全く効果がありません。しばしば、

ジグザグ運転になり、時には中央線をはみ出していたり、アクセルの踏み足の力が抜けて急に減速し、のろのろ

走行になって後続車からプープーと警告されてハッとすることもあります。危なくて我ながら長距離運転の失格者

だと認めざるを得ません。

正気のときは遠出の前には「眠くなったら無理せず、必ず停車して

仮眠するとか、眠気を払うこと」ということは十二分に心がけて

ハンドルを握るのですが、いったんハンドルを握るとなぜか頑固に

なり、眠くなっても、もう少し頑張って先まで行こう!もう一寸先まで

とか、次のドライブインまではと思い、なかなか潔く停車しようと

出来なくなってしまいます。そうなるともう、ほとんどもうろうとして

危険極まりない状態なのです。

これは既に睡魔に襲われ思考が支配されてもう理性が正常に働かなくなって、本性の強情さと頑固さが

表面に出て来るのでしょう。頑張る人は病気になりやすい、怪我が多い、そしてボケやすいと言うことが

いわれています。なるほど頑張る人は、とかく無理をしやすく、身のほど知らずに働きすぎたり、精神的

ゆとりを失い、ストレス過剰になったり、疲労が重なり様々な病気を引き起こしたり、機械を扱う人などが

事故を起こしたり怪我をしてしまうのかも知れません。

「あんなに元気で、几帳面でしっかりした人がボケてしまうのでしょうね」とか「いつも難しい本を読んで

おられたエライ先生が・・・」と言われるボケ症も頑張ったためとは信じ難い気もしますが、頑張りやさんと

言うのは、やはり我を張ってかたくなな一面の持ち主でもあり、人に心を開かず、きちんとした身づくろい

ばかりか、いつも心に鎧して、兜をかぶって構えがちな

面もあります。人のお世話になるものかと、頑張っては

いても、やはり寄るとしなみには勝てません。

また配偶者とか生きがいを失った時、精神の緊張が

切れて、頑固でかたくなさは一見しっかりして見えても、

案外もろく、急に耄碌し、呆けてしまうのかも知れません。

私は何事も中途半端で、いい加減な性分でもあるのですが、その私が「いい加減のすすめ」ということを半端

ながら提唱しています。いい加減とはデタラメとか、おざなりと言う意味に解釈されていますが、そのデタラメ

ということではなく、過不足なく程のよい加減、ちょうどいい加減、つまりどちらにも偏らない、中庸の精神であり、

仏教の中道的生き方なのが「いい加減のすすめ」です。頑張りすぎず、怠けることなくこつこつ精進努力する

ことで、私の苦手な部分でもあり、ちょうどいい私の修行課題なのです。


最後までお読み頂いてありがとう御座います。

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