こころの紋様 -ミニ説教-


自然の恵みを分け合う
〜共に生きる生活の知恵



数年前に祖母の33回忌と言うことで、両親のもとに兄弟姉妹が集まった。

その祖母と私は裏山へつわぶきを採りに出かけたものである。

戦後の食糧難の時代にはつわぶきは我が家にとっては大事な食料のひとつであった。

祖母はほめ上手で、子供の私は上手にほめられて、よく畑仕事とか草取りなどを手伝わせられた。

つわぶき採りもそうであったが、私は褒められると嬉しいのでつい乗せられてよく手伝ったものである。

お寺の山の周辺は沢山のつわぶきが生えていた。

私は見つけ次第大きいのも小さいのも全部ひきぬいて採ってしまって、得意になって家に持ち帰った。

これを見た祖母は喜ばず「これから小さいのは

残しておきなさい。

全部採ってしまったら来年大きいのが生えなくなるし、

またいくらか残しておかないと鐘崎の町から取りに来た

人たちが困るでしょ。

これからは他の人のことも考えて少しづつ採って

おいで!」と諭してくれたことがあった。

寺の山だから寺の住人が勝手に自分のものとして採ってはいけない、自然の恵みだから皆で少しずつ

分け合って、来年も再来年もずっと生えるように少しは残しておかなければならないことを教えてくれた。

自然の中で自然の恵みを頂きながら生きてきた昔の人のつつましさと、他の人のことを思いやり、分け合って

子々孫々へと、その自然の財産を引き継いでいく生活の知恵があったように思える。



また鐘崎は海女の発祥の地と言われているが、何百年も海女の漁法が伝わってきたのは一定の

大きさ以下のアワビやサザエは採らないし漁の期間も定めて保護をしてきたからである。

皆が自分さえよければと言う考えで全部採っていたら、狭い漁場のことですからすぐに

採り尽くしてしまうことだろう。

ここに自然の恵みをいただく人々のつつましさと生活の知恵が生きていた。

ところが最近はどうだろう。???


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